


フィリピン最大の銀行のひとつであるUnion Bankが、フィリピンの法定通貨であるフィリピンペソにベックしたステーブルコインのPHXを発行したそうです。
ステーブルコインといえばリブラの方が世界的に話題になっていますが、早期導入が行われたフィリピンならではの背景があります。
PHXとはどのようなステーブルコインなのかをまとめて紹介しますので、情報収集に役立ててください。
目次
Union Bank独自のステーブルコインのPHXとは?
国内外に住むフィリピン人が多くの口座を持ち、送金手段としても利用されている国内最大の銀行のひとつであるUnion Bank(ユニオンバンク)。
独自のステーブルコインであるPHXを発行した模様。
Union Bankとフィリピン政府が連携し、フィリピンの法定通貨であるフィリピンペソとベックさせるためにUnion Bankが保有する資金で価値の裏付けを行っています。
PHXのポイント
- PHXの発行数が限られること
- Union Bankの保有資金で価値を保証
- フィリピンペソにベック
フィリピン政府も金融のデジタル化を進めたいと考えており、Eカードと呼ばれる政府の保険サービスシステムの口座の受け入れ銀行であることも影響したのでしょう。
これによりリブラに先立って、フィリピン人向けの独自ステーブルコインのPHXの運用が始まりました。
PHXを利用することで
- 価値の保存や取引に利用可能
- トークンとしても活用できる
- 支払いの透明性を高める
- 支払いの自動執行も可能
というメリットがあるので、政府も導入をサポートしているのでしょう。
PHXの送金状況や安全性は問題ないのか?
PHXに関してはすでにフィリピン国内の3つの銀行間で取引を行い、購入・送金・階戻しに問題がないことも確認済。
国内送金ができるだけではなく、シンガポールの銀行からの海外送金にも成功していますので、国際送金方法のひとつとして使用できる可能性も確認されています。
PHXに関してはUnion Bankの予備金内で発行する分にはペソベックが保証されており、現在はUnion Bankの口座内の預金から購入する形なので、ペソとの交換も簡単で、価値の保証も十分に行われていると考えられます。
Union Bank以外でPHXを購入できる様になると少し不安が出てきますが、現状の方法で様子見しながら、利用範囲を拡大していけばそこまで問題になることはないでしょう。
なぜフィリピンは国際送金利用者が多いのか?
フィリピンは世界屈指の海外就労者の多い国で、より裕福な国に高額な賃金を求めて、多くの国民が海外就労者になっています。
現在でも1,800万人以上が海外で就労しており、海外移住者を加えるとほぼ2,000万人弱の人が海外に出ているということになります。
フィリピンの人口は2014年時点で1億人を超えていますので、国民の2割弱が海外にいるというのがフィリピンの現状です。
例えば香港の人口は740万人ですが、そこで働く外国人家政婦は30万人以上、そのほとんどがフィリピン人家政婦。
フィリピンよりも賃金水準が高い香港に出稼ぎに出て就労し、国に残った家族に多額の仕送りを行うことで、家計が成り立つという状態になっています。
必然的にフィリピンには世界中にいる出稼ぎに労働者からの国際送金が行われますが、正規ルートでフィリピン国内に送金される場合と、地下銀行を通じて送金される場合があります。
政府としては地下銀行を通じて送金されることで、税金等の徴収に影響が出たり、犯罪組織の資金源として利用されるのでその状況を改善したいのでしょう。
だから政府も金融のデジタル化を推奨して、少しでも正規ルートで国内に入っているようにしたいのだと思います。
フィリピンで独自ステーブルコインのPHXが発行されたの記事まとめ
フィリピンではUnion Bankが独自のステーブルコインであるPHXを政府と連携し発行しました。
PHXを利用することで
- 価値の保存や取引に利用可能
- トークンとしても活用できる
- 支払いの透明性を高める
- 支払いの自動執行も可能
様々な部分でメリットがありますし、地下銀行等を通じて行われる不正な国際送金も減少させる目論見があるのでしょう。
まだまだ国際送金という意味では十分に利用できる状態では有りませんが、ペソとのベックし、Union Bankの予備金で価値が保証されていることで安心して利用することができます。
詳細な情報はまだあまり公開されていませんが、政府もサポートするステーブルコインが発行されたことは、仮想通貨業界には良いニュースですので、今後の進展状況もチェックしていきたいと思います。